洋11-65 (ショートコメント)
「モーツァルトの恋」 ![]()
![]()
![]()
2011(平成23)年6月4日鑑賞<テアトル梅田>
監督:カール・ハートル
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/ハンス・ホルト
コンスタンツェ(ウェーバー家の三女、モーツァルトの妻)/ヴィニー・マーカス
ルイーゼ(アロイジア)(ウェーバー家の次女、歌手)/イレーネ・フォン・メイエンドルフ
ベートーヴェン/レネ・デルトゲン
レオポルト(モーツァルトの父)/ヴァルター・ヤンセン
アンナ・マリア(モーツァルトの母)/ローザ・アルバッハ=レティー
ヨゼーファ(ウェーバー家の長女)/ズシ・ヴィット
ゾフィー(ウェーバー家の四女)/テア・ヴァイス
皇帝ヨーゼフ2世/クルト・ユルゲンス
1942年・オーストリア映画・111分
配給/T&Kテレフィルム
◆ 『アマデウス』(84年)は神童モーツァルトのそれまでのイメージを大きく変えるすごい映画だったが、1942年に公開された本作は、オーソドックスなモーツァルトの恋模様と『レクイエム』で終わる短い生涯を美しい音楽に乗せてタップリと描くもの。冒頭は私の大好きなピアノソナタ第11番イ長調K331「トルコ行進曲つき」から。そして、ラストもそれだ。
◆ モーツァルトには旅がつきもの。それはモーツァルトの4歳年上の姉ナンネルに焦点をあてためずらしい映画『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』(10年)でも明らかだが、本作が描くザルツブルグに住むモーツァルトの最初の旅はパリへの旅。
父親レオポルト(ヴァルター・ヤンセン)を残し母親のアンナ・マリア(ローザ・アルバッハ=レティー)がモーツァルトに付き添ったが、どうも彼の目的はパリではなくお目当ての女性ルイーゼ(イレーネ・フォン・メイエンドルフ)が住む近くのまち。ルイーゼはウェーバー家の4人姉妹の次女だが、このまちでモーツァルトが宮廷付き指揮者に就任し、ルイーゼを歌手として成功させることができれば・・・。若きモーツァルトは、そうもくろんだが・・・。
◆ モーツァルトの妻は阪田三吉の妻・小春のように、苦労ばっかりかけたコンスタンツェ。私はそう思っていたし、実際にもそのとおりだが、モーツァルトが本気で惚れていたのはウェーバー家三女のコンスタンツェではなく次女のルイーゼだったらしい。本作ではイタリア時代のモーツァルトは描かれず、ウィーンで少し成功し、プラハで『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』などの歌劇をたて続けに成功させるモーツァルトの姿が描かれる。そこで歌うのが、再会したルイーゼだ。
これが仕事上だけのパートナーなら仕方ないが、根っから浮気者の(?)モーツァルトは、シャーシャーとルイーゼへの恋心を披瀝するから、コンスタンツェはたまったものではない。そんな罪つくりなモーツァルトだったが、やはりコンスタンツェは小春と同じように偉い。そんな2人の夫婦像も、本作からしっかりと・・・。
◆ モーツァルトは35歳の若さで死亡したが、41番までの交響曲、27番までのピアノ協奏曲そしてたくさんのオペラなど、計700曲以上の作品を残している。クラシックの演奏会で『レクイエム』を聴くことは滅多にないが、この曲が有名になったのは、やはり『アマデウス』の最後に何とも不気味な使者からこの曲の注文を受けるシーンが強く印象に残っているため。本作が描くモーツァルトの最後も、これと似たような雰囲気に仕上がっている。
モーツァルトの主治医は「天才は早く天に召されるのだ」とコンスタンツェを慰めていたが、まさにそのとおり。自分が天才でないことに感謝しつつ、久しぶりにモーツァルトの名曲の数々を聴けたことに大満足!
2011(平成23)年6月4日記