洋11-62 (ショートコメント)

「デビル」
    

                    2011(平成23)年5月31日鑑賞<東宝東和試写室>

原案・プロデューサー:M・ナイト・シャマラン
監督:ジョン・エリック・ドゥードル
ボーデン刑事/クリス・メッシーナ
トニー(整備工)/ローガン・マーシャル=グリーン
ビンス・マコーミック(セールスマン)/ジェフリー・エアンド
サラ・キャラウェイ(若い女)/ボヤナ・ノヴァコヴィッチ
ジェーン・コウスキー(老女)/ジェニー・オハラ
ビル・ラーソン(警備員)/ボキーム・ウッドバイン
ラスティグ(ベテラン警備員)/マット・クレイヴン
ラミレス(警備員)/ジェイコブ・バルガス
2010年・アメリカ映画・80分
配給/東宝東和

 M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(99年)にはたしかに驚かされたが、その後の『アンブレイカブル』(00年)、『サイン』(02年)(『シネマルーム2』237頁参照)、『ヴィレッジ』(04年)(『シネマルーム6』310頁参照)、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(06年)(『シネマルーム12』72頁参照)、『ハプニング』(08年)(『シネマルーム21』291頁参照)などの私の評価はイマイチ。才能豊かな彼は映画づくりに向けてのアイデアが次々と浮かんでくるため、それを書き続けたノートが大量にできるらしいが、いくらノートが増えてもその脚本をすべて自分が書き監督するのは到底ムリ。
 そこで思いついたのが、自分のアイデアを有望な映画作家や俳優たちに映画シリーズとして作品化してもらうこと。その企画が「ザ・ナイト・クロニクルズ」であり、本作はその第1弾。M・ナイト・シャマラン監督の14頁の原案から脚本が完成し、監督選びをやり、そこからキャスティングへと進み、本作が完成したわけだ。なるほど、M・ナイト・シャマラン監督もそこまでの大物に大出世?

 エレベーターを舞台とした名作は、『死刑台のエレベーター』(58年)をはじめとして数多い。他方、「悪魔伝説」の映画も古くは『ローズマリーの赤ちゃん』(68年)や『悪魔の棲む家』(05年)(『シネマルーム9』373頁参照)など、邦画では横溝正史原作の『悪魔が来りて笛を吹く』(54年)などたくさんある。しかして、本作におけるM・ナイト・シャマラン監督のアイデアはエレベーターと悪魔の融合。つまり、本作の2つのキーワードはエレベーター内における「閉塞感」と悪魔伝説にもとづく「恐怖感」だが、さてその展開は?

 フィラデルフィアにある高層オフィスビルで、飛び降り自殺と見られる事件が発生。ボーデン刑事(クリス・メッシーナ)はその現場に急行したが、その後彼は停止したエレベーター内で起きる5人の男女の何とも不気味な事件に立ち向かうことに。このエレベーター内に偶然(?)乗りあわせたのは、①セールスマン風の男(ジェフリー・エアンド)、②老女(ジェニー・オハラ)、③警備員のラーソン(ボキーム・ウッドバイン)、④身なりがいい若い女(ボヤナ・ノヴァコヴィッチ)、⑤整備工の若者(ローガン・マーシャル=グリーン)の5人だが、突然停止したエレベーター内で一人また一人と死亡していくことに。
 この様子を警備室の監視カメラで注視するのがベテラン警備員のラスティグ(マット・クレイヴン)と信心深い(悪魔払いに詳しい?)警備員ラミレス(ジェイコブ・バルガス)の2人だが、時々監視カメラに映る奇妙な残像は?殺人事件発生と聞き、ある時点からはボーデン刑事が指揮を執ることになるが、彼のチェックをもってしても悪魔の暴走はとめられない・・・?

 ボーデン刑事はやっと断酒生活90日になったところだが、そうなるまでにはどんな過去が?本作にみるボーデン刑事の捜査手法はオーソドックスかつスピーディーだが、その中で明らかになるエレベーター内の5人の男女の過去(豊富な犯罪歴?)とは?
 警備室のモニターに映る不気味な顔の残像は、ひょっとしてラミレスが言うように悪魔が降臨しているの?

 本作は80分とコンパクトだが、前半から中盤にかけて起きるさまざまな怪奇現象は観客を飽きさせず注目させるに十分。ところが、肝心の後半からクライマックスにかけての展開ははっきり言ってイマイチ。というより、「俺にはサッパリワケがわからねえ」と言ったところ。これでは、M・ナイト・シャマラン監督のアイデアも、ただのこけおどし?
                               2011(平成23)年6月1日記