洋11-37 (ショートコメント)

「マーラー 君に捧げるアダージョ」
    

                    2011(平成23)年3月22日鑑賞<東映試写室>

監督:パーシー・アドロン&フェリックス・アドロン
グスタフ・マーラー(作曲家・指揮者)/ヨハネス・ジルバーシュナイダー
アルマ・マーラー(風景画家エミール・シントラーとアンナの娘)/バーバラ・ロマーナー
ジークムント・フロイト(精神分析医)/カール・マルコヴィクス
ヴァルター・グロピウス(建築家、アルマの恋人)/フリードリヒ・ミュッケ
アンナ・モル(アルマの母)/エーファ・マッテス
ユスティーネ・マーラー=ロゼ(マーラーの妹)/レナ・シュトルツェ
アンナ・フォン・ミルデンブルク(オペラ歌手、マーラーの元恋人)/ニーナ・ベルテン
2010年・ドイツ、オーストリア映画・102分
配給/セテラ・インターナショナル

◆ たくさんの楽器編成と長大さ。それが私の持っているマーラーの交響曲のイメージだが、後期ロマン派を代表する作曲家マーラーは、なぜそんな交響曲を?また、本作が描くグスタフ・マーラー(ヨハネス・ジルバーシュナイダー)がアダージョを捧げたという「君」とは一体誰のこと?
 それは、マーラーの妻となり2人の子供を産んだ女性アルマ・マーラー(バーバラ・ロマーナー)だが、ショパンやシューマン、そしてリスト等についてはその恋人との物語を少しは知っているが、マーラーについてはそんな知識はゼロ。アルマは世紀末ウィーンの女神(ミューズ)と呼ばれた女性らしいから、本作でしっかりそのお勉強を。

◆ フロイトは精神医学や臨床心理学の方面で有名だが、本作はそのジークムント・フロイト(カール・マルコヴィクス)の治療を受ける中で次第に明らかにされる、マーラーの結婚生活についての悩みを描くもの。その悩みとはアルマが5歳年下の若手建築家ヴァルター・グロピウス(フリードリヒ・ミュッケ)と不倫関係になったことだから、かなり深刻だ。弁護士への相談なら、当然離婚意思の有無やその可否だが、フロイトへの相談内容とそれに対するフロイトの催眠治療による対応とは?

◆ 私は2010年4月9日に東京のサントリーホールで開催された㈱オービック主催の春のコンサートでマーラーの交響曲第2番「復活」をはじめて生で聴きその壮大さに感激したが、マーラーには未完のまま作曲が中断された交響曲第10番があることを本作ではじめて知った。しかして、プレスシートにある前島秀国氏の「マーラー夫妻の愛と苦悩を分析した“究極の音楽映画”」によると、《交響曲10番》第1楽章「アダージョ」には前代未聞の不協和音が登場するらしい。そして、それこそ実はアルマとの実生活における不協和音の反映?
 このコラムによれば、本作は「アダージョ」の提示部、展開部、再現部、絶叫、コーダという順序で構成されているらしい。そして氏は、「マーラー生誕150周年&没後100周年のダブルアニヴァーサリーを飾る本作を“究極の音楽映画”と呼ばずして、いったい何と呼ぶべきだろうか」と絶賛しているが、音楽の素人たる私たちには、そこまでの理解はとてもムリ。

                               2011(平成23)年3月28日記