洋11-32 (ショートコメント)
「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」 ![]()
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2011(平成23)年3月8日鑑賞<GAGA試写室>
監督・脚本・製作:ルネ・フェレ
ナンネル・モーツァルト(姉)/マリー・フェレ
レオポルド・モーツァルト(姉弟の父)/マルク・バルベ
アンナ=マリア・モーツァルト(姉弟の母)/デルフィーヌ・シュイヨー
ヴォルフガング・モーツァルト(弟)/ダヴィッド・モロー
王太子(ルイ15世の子)/クロヴィス・フワン
イザベル(王太子の侍女)/サロメ・ステヴナン
ルイーズ・ド・フランス(ルイ15世の娘)/リザ・フェレ
2010年・フランス映画・120分
配給/アルバトロス・フィルム
◆ 映画は勉強。本作を観てそれを改めて痛感。『アマデウス』(84年)は私の大好きな映画だが、あのアマデウスに本作が描くような4歳年上の姉ナンネル・モーツァルトがいたなんて。もっとも、音楽映画を作るのは難しい。11歳のアマデウスを演ずるダヴィッド・モローはその顔つきといい、演奏風景といいアマデウスそっくりの神童ぶり(?)だが、ナンネルを演ずるマリー・フェレはルネ・フェレ監督の長女で実年齢も15歳、日本の高1生らしいが、とてもそうは見えず、堂々たる体格は大人顔負け。そのうえ音楽教育はゼロだったらしいから、ハープシコードを演奏する指使いのシーンはゼロ。バイオリンの演奏もワンシーンだけだから、やっぱりアマデウスとの差は歴然と?
◆ モーツァルト一家の演奏旅行のお話は有名だが、本作を観ているとその大変さがよくわかる。また、音楽に興味を持つ貴族や王族たちのあの時代の生活ぶりと、その庇護に頼らざるをえない音楽家たちの苦労もよくわかる。本作は1763年~66年にかけてのパリとロンドンでの演奏旅行を描くが、これは1789年のフランス革命から20年以上前のこと。ピアノ協奏曲『皇帝』を書いたベートーベンがナポレオンが皇帝に就任したと聞いて激怒したことは有名な話だが、本作ではルイ15世の王太子(クロヴィス・フワン)に注目。
男装の麗人に化けて楽譜を届けるストーリーや、女だとバレた後の王太子とナンネルとの恋物語はデッチあげだろうが、アイデアとしては面白い。もっとも、屈折した心を持つ王太子の屈折ぶりが大きすぎるためか、彼の人物像の理解はイマイチ?
◆ 女がトク?それとも男がトク?男女同権が当たり前になった現在の先進国では、それは微妙。しかし、NHK大河ドラマ『江』が描く16世紀の日本やモーツァルトが生きた18世紀のヨーロッパでは、やっぱり女はソン?フランス革命における自由、平等、博愛という3つの標語のうち、平等に関して大切なことは「結果の平等」ではなく「機会の平等」。しかして、父親のレオポルド・モーツァルト(マルク・バルベ)が弟のアマデウスに対しては天才教育を施しながら、姉のナンネルに対してはバイオリンを弾くことも作曲することも「女だから」という理由で禁止してしまう姿を観ていると、それを痛感。
そんなナンネルとすぐにお友達になったのが、ルイ15世の娘として生まれながら、枢機卿によって修道院に幽閉された王女ルイーズ(リザ・フェレ)。2人とも15歳にして世捨て人のような運命を受け入れるわけだが、ルイーズがラストに述べる「もし男として生まれたら、私たちの運命は違ったはず。世を支配したかも、あなたは音楽で、私は政治で」という言葉の重みをしっかりとかみしめたい。
2011(平成23)年3月9日記