洋11-105
「三銃士☆ 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」 ![]()
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2011(平成23)年10月13日鑑賞<GAGA試写室>
監督:ポール・W・S・アンダーソン
ダルタニアン(三銃士の〈ルーキー〉)/ローガン・ラーマン
ミレディ(二重スパイ)/ミラ・ジョヴォヴィッチ
バッキンガム公爵(イギリス宰相)/オーランド・ブルーム
アトス(三銃士の〈頭脳〉)/マシュー・マクファデイン
ポルトス(三銃士の〈腕力〉)/レイ・スティーヴンソン
アラミス(三銃士の〈プリンス〉)/ルーク・エヴァンス
リシュリュー枢機卿(フランスの宰相)/クリストフ・ヴァルツ
ルイ13世(フランス国王)/フレディ・フォックス
アンヌ王妃(フランス王妃)/ジュノー・テンプル
コンスタンス(アンヌ王妃の侍女)/カブリエラ・ワイルド
2011年・ドイツ映画・104分
配給/ギャガ
<「あの名作」が、奇想天外な超娯楽大作に変身!>
アレクサンドル・デュマの『三銃士』は過去何度も映画化されているが、そこには「皆は1人のために、1人は皆のために」をスローガンにした男(銃士)たちの熱き情熱と友情が心を打った。そんな『三銃士』も、『バイオハザード』シリーズの奇才ポール・W・S・アンダーソン監督が愛妻ミラ・ジョヴォヴィッチを起用した奇想天外な超娯楽大作になると・・・。
他方、ヒラリー・スワンクが主人公ジャンヌ(ヴァロア伯爵婦人)役を演じた『マリー・アントワネットの首飾り』(01年)は、フランス革命前夜のフランスを揺るがした「首飾り事件」を興味深く取り上げた名作だった(『シネマルーム1』68頁参照)が、そんな首飾りをめぐる「実話」もアンダーソン監督の手にかかると、ネックレスをめぐる「不倫疑惑」のネタに・・・。
<キャラの突出は今風だが・・・>
最近のテレビドラマは全く深みがないし、ハリウッドの娯楽超大作も誰もが楽しめるつくり方にするため、わかりやすさを優先させる傾向が強い。そのため登場人物のキャラを通常以上に突出させているから、わかりやすいといえばたしかにそうだが、その分複雑さや奥行きがない。本作では三銃士のキャラもプレスシートで、①愛に迷う、三銃士の<頭脳>:アトス(マシュー・マクファデイン)、②女に凄腕、三銃士の<プリンス>:アラミス(ルーク・エヴァンス)、③心優しき、三銃士の<腕力>:ポルトス(レイ・スティーヴンソン)と書かれているし、今フランス南部の故郷から巣立ったばかりの若者ダルタニアン(ローガン・ラーマン)も、夢多き三銃士の<ルーキー>とされているから、なるほどわかりやすい。
さらに、本来複雑なはずの当時の「英仏対立」についても、フランス側の①ルイ13世(フレディ・フォックス)は、不器用で我儘ながら、妻を愛する幼き王、②フランスの宰相であるリシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)は狡猾な野心家とされ、逆にイギリス側のバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)は、目的のためなら手段を選ばない、自信過剰な危険人物とキャラを明確にされているから、その対立構造もわかりやすい。唯一複雑なキャラは、二重スパイで欲望のままに動く悪の華ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)だが、さて彼女は誰の依頼で?どんな役割を?
<巨大な飛行船の登場は?>
砲兵出身のナポレオンは大砲の集中的活用によってヨーロッパを制覇したが、それな18世紀から19世紀にかけてのこと。それに対して、ダルタニアンや三銃士が活躍したのは若き日のルイ13世がフランスを統治していた時代だから1620~30年頃。また、レオナルド・ダ・ヴィンチの天才ぶりはよく知られているが、彼が飛行船を完成させたり飛行船に大砲を積んだという話を私は寡聞にして聞いたことがない。他方、ジョニー・デップが主演した『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズは大人気となったが、あの海賊船が活躍した時代は17世紀。また「波動砲」を最大の武器とする『宇宙船艦ヤマト』が困難な使命を帯びて地球を出発したのは、それよりはるか未来の2199年のことだ。
本作は『三銃士』本来の楽しみである剣さばきも披露されるが、中盤以降の圧巻は何といっても巨大な飛行船による空の戦い。フランスからイギリスまで馬車を走らせたら何日かかるかわからないが、飛行船による空の旅ならあっという間。それなら、5日後にルイ13世が主催する祝賀舞踏会までに、ミレディによって奪われたあのネックレスを取り戻すことができるのでは?
<決戦は空へ!さて、時代考証は?>
時代の変化に対応できず不遇を嘆いていた三銃士も、アンヌ王妃(ジュノー・テンプル)やその侍女であるコンスタンス(カブリエラ・ワイルド)から「不倫疑惑を晴らすためネックレスの奪還を!」と頼まれると、イヤとは言えなかったのは当然。そんな崇高な任務(?)のため、本作のハイライトとなるド派手な空での飛行船決戦が始まるわけだが、さて、その結末は?
本作はエンドロールが流れる中、三銃士との対決に敗れはるか上空の飛行船からまっさかさまに落下したミレディが、バッキンガム公爵によって救い出されているシーンが登場する。さらに、それに続いて彼が指揮する大飛行船軍団がフランスに襲いかかっていくという、本作のパート2を予告するワンシーンが登場する。本作における空での飛行船決戦も将来の大飛行船軍団の襲来もお楽しみはお楽しみとして結構だが、さて、時代考証は?
2011(平成23)年10月15日記