洋08-248

「恋愛上手になるために
      

                 2008(平成20)年9月18日鑑賞<東映試写室>

監督・脚本:ジェイク・パルトロウ
ドーラ(ゲリーの恋人)/グウィネス・パルトロウ
アンナ、メロディア/ペネロペ・クルス
ゲリー(ミュージシャン)/マーティン・フリーマン
メル(<明晰夢>の研究家)/ダニー・デビート
ポール(ゲリーの元バンド仲間)/サイモン・ペグ
アラン・ワイゲルト(<明晰夢>の著者)/マイケル・ガンボン
2007年・アメリカ映画・90分
配給/ファインフィルムズ

<2大美人女優が初共演! その1ーグウィネス・パルトロウ>
 8月28日に観た『ブーリン家の姉妹』(08年)はナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの初共演が話題だったが、『恋愛上手になるために』の話題は、アメリカ生まれのグウィネス・パルトロウとスペイン生まれのペネロペ・クルスという2大美人女優の初共演!
 1972年生まれのグウィネス・パルトロウは、何といってもアカデミー賞主演女優賞を受賞した『恋におちたシェイクスピア』(98年)が代表作。もっとも、その当時つまり今から10年前、私にはグウィネス・パルトロウはすごい美人女優という印象だったが、結婚して2児の母親となった今、彼女は美人は美人だが、あの当時の輝くような美しさは半減・・・?

<2大美人女優が初共演! その2ーペネロペ・クルス>
 他方、『ボルベールー帰郷ー』(06年)でスペイン人女優として初のアカデミー賞主演女優賞ノミネートという快挙を成し遂げた(『シネマルーム13』198頁参照)のがペネロペ・クルス。恋や結婚よりも仕事一筋の(?)超魅力的な今が旬の女優だ。
 ペネロペ・クルスを私の記憶に強く印象づけたのは『コレリ大尉のマンドリン』(01年)だったが、私が彼女をはじめて観たのはトム・クルーズと共演した『バニラ・スカイ』(01年)。これは、「この手のワケのわからないストーリーは、トム・クルーズの魅力も半減。でも2人の女優はいい」との評価だった(『シネマルーム1』27頁参照)。しかし、私が星5つをつけたすばらしい映画『トリコロールに燃えて』(04年)で彼女は、前半では妖しげなセミヌード姿を披露しながら乱れた(?)生活を続けていたが、後半では一転して、困難なスペイン内戦の中で働く献身的な看護士というシリアスな役を見事に演じていた(『シネマルーム6』243頁参照)。
 ちなみに、プレスシートによるとウディ・アレン監督の最新作『Vicky Cristina Barcelona』(08年)で彼女は、スカーレット・ヨハンソンとの過激なレズシーンが話題になっているとのことだから、こりゃ是非観なくては・・・。

<2人の男優にも注目!>
 6月11日に観た『ホット・ファズー俺たちスーパーポリスメン!ー』(07年)で主演し、圧倒的な存在感を見せつけたのがサイモン・ペグ。また、チョイ役の上司(?)役で共演したのがマーティン・フリーマン。
 『恋愛上手になるために』では、逆にマーティン・フリーマンがグウィネス・パルトロウとペネロペ・クルスという2人の美女に囲まれる超お得な主役をゲットしたが、これはひょっとして、『ホット・ファズー俺たちスーパーポリスメン!ー』で主役をサイモン・ペグに譲ったことの見返り・・・?
 グウィネス・パルトロウの弟ジェイク・パルトロウが初監督したこの映画で、「福田・麻生密約」まがいの密約はないはずだが、盟友同士のマーティン・フリーマンとサイモン・ペグはこの映画でも息のあったところを見せている。マーティン・フリーマンは『レンブラントの夜警』(07年)ではえらく深刻な主人公レンブラント役を演じていたが、この映画を観ていると、やはりマーティン・フリーマンにはコメディ的な演技がお似合い。そんな2人の男優にも注目!

<ゲリーはなぜ夢を見ることに?>
 ジェイク・パルトロウ監督が2人の美女を起用して臨んだこの映画は『The Good Night』という原題からわかるとおり、単純な夢物語・・・?つまり、長い間同棲生活を続けているゲリー(マーティン・フリーマン)とドーラ(グウィネス・パルトロウ)との間に最近吹いているすきま風の中、ゲリーが毎夜見る夢の中で、パーフェクトな美女と出会うストーリーが軸。
 ゲリーは昔ポール(サイモン・ペグ)と共に人気バンドのメンバーとしてヒット曲を飛ばしたが、今は細々とCMの作曲をして食いつないでいる状態。それに対してポールは某社の共同経営者に出世し、別荘まで買い込んでいるらしいから、ゲリーとドーラは大ショック。ドーラがハッパをかけるつもりで言った「今の仕事を続けてモノになるの?」と言う言葉も、今のゲリーにはとげのある言葉としか受け止められなかったようだ。
 アメリカの夫婦が毎晩寝る前に「I love you」「Me too」とささやき合うのはいい習慣だが、恋人同士として毎晩くり返されているゲリーとドーラのそれは形式的で形骸化していることは明らか。そんなある夜、ゲリーの夢の中に現れた美女は一体ダレ・・・?

<邦題はイマイチ・・・?>
 最近やたら、恋、幸せ、恋愛という文字の邦題が多い。8月26日に観た『しあわせのかおり』(08年)は邦画だが、9月15日に観た『幸せの1ページ』(08年)、9月11日に観た『かけひきは、恋のはじまり』(08年)に続いて、今日は『恋愛上手になるために』だ。
 この映画のプレスシートには、この邦題に合わせたかのように「どこで決断すれば、先に進めるの?恋愛上手の分岐点とする9項目のセルフチェック」があり、「5つ以上にチェックがついたら、二人はピンチ!?この映画を観て恋愛上手になりましょう!」と観客を励ましている。これは、この映画の中ででゲリーとドーラが見せる倦怠期にある恋人の悪しき実態を参考にしてつくられた質問事項だが、私が思うにジェイク・パルトロウ監督の狙いは、「恋愛上手になること」ではなく、「The Good Night」を描きたかっただけなのでは・・・?そう考えると、この邦題はイマイチ・・・?

<「明晰夢」とは?>
 映画前半は、「I love you」「Me too」の会話の後に夢におちたゲリーの前に、白づくめのファッションに身を包んだ美しい女性の姿が再三登場する。ペネロペ・クルス扮するこの美女の名前はアンナ。そんな美女が、ドーラと違ってなぜかやさしくゲリーに尽くしてくれるのだから、ゲリーが彼女に夢中になったのは当然。
 ゲリーは男同士の気安さもあり、ポールに対してだけはそんなアンナの存在を熱く語って聞かせたが、困ったのは夢の中でしか彼女に会えないこと。そこで彼が通い始めたのが、“明晰夢”の研究家メル(ダニー・デビート)。アラン・ワイゲルト(マイケル・ガンボン)著の『明晰夢』はベストセラー本らしいから、“明晰夢”についてゲリーにさまざまなアドバイスをするメルはインチキ教祖ではないはず。しかし、弁護士の私の目には、どこか心配・・・?

<アンナは現実の女性?>
 「信ずる者は救われる」とはよく言ったもの。ゲリーが通い始めた“明晰夢”をすぐに信じたかどうかは別として、ゲリーがある日目にした大きな広告写真には何とアンナの姿が。これはつまり、夢の中に現れる女性アンナは夢の中だけの存在ではなく、現実に生きている女性だということ・・・?そうとわかったゲリーが、早速現実の女性“メロディア”を捜し求める事になったのは当然だが・・・。

<「その後」と「結末」はあなた自身の目で>
 この映画の評論はこれくらいにしておこう。それは、半分はネタばれを避けるため、そして半分は私自身どこまでが夢で、どこまでが現実かについて混乱しているため・・・?
 まあ、32歳にして長編監督デビューを果たし、プレスシートでは「ウディ・アレンを彷彿させる都会的で洗練されたテイストは、批評家たちの間でも高い評価を受け、今後の活躍が期待されている」と書かれているジェイク・パルトロウ監督がつくる作品には、夢の部分と現実の部分の違いは明確に意識されているから、そんな混乱はありえない・・・?しかし、この映画に関してはそれを詳しく解説せず、何が夢で何が現実かを混乱させておいた方が楽しいのでは・・・?
                           2008(平成20)年9月20日記