日05−190
「完全なる飼育〜女理髪師の恋〜」 ![]()
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2005(平成17)年11月12日鑑賞<ホクテンザ1>
監督・脚本:小林政広
ケンジ/北村一輝
今井治美/荻野目慶子
中古車屋の男/林泰文
井田/佐藤二朗
トラック運転手/中澤寛
育夫/竹中直人
セディックインターナショナル配給・2003年・日本映画・103分
<第5弾は英語字幕付き!>
ご存じ松田美智子原作の『完全なる飼育』シリーズ第5弾は、何と英語の字幕付きだが、それはこれがロカルノ国際映画祭に出品した作品であるため。日本語を聞きながら字幕を読んでいると、結構、ああなるほど、英語ではこういう言い方になるんだということがわかり、参考になるもの。もっとも、セリフを極端に少なくし、男の哀愁を漂わせたような(?)多くのシーンから読み取れるのは、フランス風につくろうという狙い・・・?若き主人公ケンジを演ずる北村一輝はたしかにそういう雰囲気を醸し出しているが、さてその出来は・・・?
<ヒロインの荻野目慶子は?>
第5弾のヒロインとして、女理髪師に起用されたのは治美役の荻野目慶子。名前の通った女優がこのシリーズに出演するのは、既に旬が過ぎたことを自白するようなもの(?)だが、やはりそれなりに強い個性がなければダメ。何しろ夫の育夫を演ずるあの個性派俳優の竹中直人と張り合わなければならないのだから・・・。
序盤のハイライトシーンは、理髪店の中で育夫とともに働いている治美を、窓の外からケンジがじっと見つめるシーン。しかしそこでクローズアップされた治美の姿は、はっきり言ってそれほどでも・・・。さらに、毎日パチンコで2万円をすっているダメ亭主の育夫と理容院の中で話し合っている治美の姿も、どちらかというと、毎日の生活にくたびれた中年女という感じ・・・。しかしそれでも、若いケンジは夫婦2人がそろって食事に出かけている姿を見ると、つい嫉妬心が・・・?
<ワケのわからん最初のストーリー・・・?>
この映画の舞台は、北海道の札幌。1人列車から降り立ったケンジは、まずは中古車販売店に行って、すぐに乗れる5万円の中古車を購入。ホントはその隣りにあったもう少しマシな車が欲しかったのだが、手が出せなかったため、事故車で整備点検も未了ということを了解のうえ、早速その車に乗り込んだ。
彼が行くところがどこなのか、映画は何も語ってくれないが、ケンジがふと車を停めたのは、「売家」の看板が立っている郊外地(別荘地?)。鍵が掛かっていないのが不思議だが、1人その中に入っていったケンジは、ゴミだらけの部屋の中はもちろん、ガスや水道までチェックして、なぜか1人満足顔・・・。さらに、残置されていたベットがわりのマットの上に寝ころんだ彼の思惑は・・・?
<巣づくりの描写は少し長すぎるのでは・・・?>
そこから始まるのが、これもほとんどセリフなしでのケンジによる巣づくり・・・。つまり、この家の改装だ。なぜ勝手に入り込んだ売家で、ここまでずうずうしく振る舞えるのか私には理解できないが、若く無鉄砲なケンジはそんなことを気にせず、黙々とよく働いた。その結果、あのゴミだらけで荒れ果てていた家の中がえらくキレイに・・・。さて、無事に(?)ここまで巣づくりができた後、彼がやるべきことは・・・?
今までの『完全なる飼育』シリーズは、ヒロインを誘拐し、逮捕・監禁するのがもう少し早かったと思うのだが、この第5弾は、ここまでの巣づくりができた後、やっと誘拐の行動に・・・。
<ポイント部分は映画でタップリと・・・>
『完全なる飼育』シリーズの「見どころ」は、何といっても誘拐と逮捕・監禁、そして強制調教の場面・・・?さてこの第5弾では、それがどのように展開されるのだろうか?それは映画を観てのお楽しみに・・・。
ただ、本作がそれまでのシリーズと明らかに違うのは、強制力が非常に弱いということ。つまり、無理矢理に誘拐されて監禁されるのだから、被害者は当然何とか逃げ出そうと考えて、死に物狂いの反抗をするはずなのだが、この映画でのそれは・・・?もちろん、治美もいったんは逃げ出そうとするのだが、ケンジの説明の説得力(?)と行動で示すやさしさの前に、ついホロリとなったのか、意外と簡単に逮捕・監禁状態から、サブタイトルどおりの「理髪師の恋」状態に移行・・・。そして、昔の日活ロマンポルノ並みの荻野目チャンの熱演がしばらく続くことに・・・。
そんな、ラブラブ状態で早くも2週間・・・?こんな話ってホントにありうるの・・・?こういう描き方をしていると今までの『完全なる飼育』のシリアス性はかなり薄くなり、今回は抽象化されたフランス風のラブストーリーに転化してしまったのでは・・・?
<女は積極的に、男はあくまでやさしく>
こうなると女は強いもの。もちろん、ケンジより治美の方が年上。そして治美だって、当然昔から自分を大切にしてくれる男性を待ち望んでいたのだから、若い時にケンジが率直にその思いを打ち明けてくれていたら・・・?しかし今さら、そんな昔話をしても詮なきこと・・・。
ある日、2人で楽しくスーパーマーケットで買い物をしていたところを知人に見つかってしまったため、治美は、大胆にもケンジと2人で東京に出ていこうと提案した。そして、あくまでやさしいケンジもこれに同意。さてこんな2人の行く手に、幸せな未来が待ち受けているのだろうか・・・?
<2人の男の対決と、今明かされる意外な過去・・・?>
今やケンジと治美の共同生活は、治美の方が積極的で前向き・・・。そんな中、「タバコを買ってくる。君は長い旅に備えて家で洗濯をしていてくれ」と言い残したケンジが出かけていったのは、何と育夫の理髪店。本来、ケンジは世間から身を隠さなければならない立場のはずだが、なぜこんな大胆な行動を・・・?
さらにビックリしたのは、店の前にいるケンジの姿を見て、育夫がこれを店の中へ入れたこと。どうもこの2人は顔見知り・・・?さて、そこで交わされる2人の会話とは・・・?それはきわめて意外な内容で、こういう映画のつくり方はいかにもフランス的・・・?そこで、今明かされる意外な過去とは・・・?
<読めない結末・・・>
男同士の対決(?)が終わった後、ケンジは晴々とした表情で車に乗り込み、東京への出発を心待ちにしている治美のもとへ向かった。スクリーンには、こちらに向かってくるケンジの車が映るが、なぜかその後ろには大きなトラックが。さらに、なぜかそのトラックはケンジの車に追い越しをかけてケンジの前方に・・・。こりゃ何かありそう・・・?そう思うのは当然だが、そこから何とも予想外の展開が・・・。
さらにその後、ラストに向かっても、観客には全く読めない結末が・・・。もちろんそれは映画を観てのお楽しみで、その内容は悪くはないのだが、本来の『完全なる飼育』シリーズの狙いとはちょっとズレている感じも・・・?
2005(平成17)年11月14日記