洋画04年NO85

「三国志<国際スタンダード版>
 「第1巻 劉備・関羽・張飛の義兄弟の誓い」
       
(「黄巾の乱」から「群雄会盟」「三兄弟、虎牢関で呂布と戦う」)
 「第2巻 呂布と貂蝉の連環の計

       (「呂布、義父を殺して赤兎を得る」から「鳳儀亭の密会」「菫卓惨殺」)
 「第3巻 関羽、五関に六将を斬る」
      
(「関羽三つの約束」から「千里行」「三兄弟、古城の再開」)

                 
     2004(平成16)年7月11日鑑賞<シネ・ヌーヴォ・中国映画の全貌2004>

監督:王扶林
原作:羅貫中
孫彦軍
陸樹銘
李靖飛
1996年・中国映画・第1巻 93分・第2巻 90分・第3巻 93分

<テレビ版の劇場初上映>
 
この『三国志<国際スタンダード版>』は、『三国演義』を映像化したもので、全20巻からなるもの。その1から3巻が、シネ・ヌーヴォの「中国映画の全貌2004」で劇場初上映されたというわけだ。

<『三国演義』と日本版『三国志』あれこれ>
 中国の三国志は、『三国演義』が元になったもの。もちろん日本版『三国志』もそれは同じだが、日本で有名な三国志としては、まず何といっても、日本のスタンダード版ともいえる吉川英治の『三国志 全8巻』(講談社文庫)。私はこれを中学生の時に何度も何度も夢中になってむさぼり読んだことを覚えている。近時有名な三国志は、北方謙三の『三国志 全13巻』(角川事務所)。しかし、私は残念ながら、これを読んでいない。
 本来の三国志とは少し違う視点から、劉備玄徳亡き後の蜀の国を、二代皇帝劉禅を奉じて一人背負う諸葛孔明と、魏の大軍を率いる名将司馬懿仲達との戦いを軸に書いたのが、柴田錬三郎の『柴錬三国志ー英雄生きるべきか死すべきか』(講談社文庫)。これは上下2巻だけの短いものだが、実に面白く、これも2度3度と読んだもの。
 さらに最近は、横山光輝のコミック版『三国志』がある。2004年6月15日の横浜出張の際、私が駅の書店で購入したのは、その第15巻。これは「成都攻略戦」という巻だったから、20巻ぐらいで完結するか・・・?と思っていたところ、『キネマ旬報 7月下旬号』(株式会社キネマ旬報社)を読んでいると、その訃報欄で、横山光輝氏が、自宅火災で大火傷を負い重傷だったところ、2004年4月15日に69歳で死去したことを知った。合掌・・・。

「第1巻 劉備・関羽・張飛の義兄弟の誓い」
<黄巾の乱>
 
黄巾の乱とは、後漢(25〜196年)の時代の末期におこった、張角が率いた太平道による乱のこと。はじめて中国を統一した始皇帝の秦王朝(BC221〜206年)を倒して、漢王朝をうちたてたのが、「項羽と劉邦」で有名な漢の高祖劉邦。この前漢はBC206年からAD8年まで続いたが、前漢の末期の混乱を経て、AD25年光武帝が後漢を打ち立てた。そして、その後漢の末期に発生したのが黄巾の乱。そこで、朝廷からの呼びかけに応じて、この黄巾の乱を鎮圧するため、各地で蜂起した決起軍の有力者が董卓、袁紹、曹操ら、その後の三国志の時代に登場してくる英雄たちだ。
 劉備玄徳は漢王朝の血を引く血筋だったが、落ちぶれた今は、何もすることもなく、ただ悶々とした日々を送っていた。そんな中、ある市でめぐりあったのが関羽と張飛。たちまち3人は意気投合し、義兄弟の誓いを結ぶことに。ここからが、劉備玄徳、関羽、張飛の3人を主人公とする『三国志』の物語の本格的スタートだ。
 第1巻はその他、「群雄会盟」や「三兄弟、虎牢関で、呂布と戦う」の物語を面白く描いていく。

「第2巻 呂布と貂蝉の連環の計
 
第2巻の主人公は、呂布。呂布は、それまでの主人を見限って、董卓の誘いに乗り、その養子となった勇猛果敢な豪傑。第1巻の「三兄弟、虎牢関で、呂布と戦う」の場面において、関羽と張飛の他、劉備も含めた三兄弟がまとまって呂布と闘っても勝負がつかなかったほどだから、その豪傑ぶりはすごいもの。
 今、洛陽の都では、董卓が、献帝を即位させて、自分は相国となり、権力を欲しいままにしていた。そんな中、董卓の横暴を憂えた王允が考えたはかりごとが「連環の計」。これは、呂布も董卓も無類の女好きと読んだ王允が、美しく成長した自分の養女の貂蝉を、まず呂布とひき合わせて恋仲にさせたうえ、次に貂蝉を董卓にひき合わせて、董卓が貂蝉を自分の女とする。そしてこれによって、呂布と董卓を仲たがいさせようとする、ちょっとイヤらしい(?)高等戦術。王允の恩義に報いるため、貂蝉は敢然とこれにチャレンジした。自分が結婚の約束までした貂蝉を、養父の董卓が権力にまかせて奪い取ってしまったと思い込んだ呂布は、王允の読みどおり、逆上のうえ董卓を惨殺。このようにして、貂蝉は「連環の計」による王允の狙いを見事に実現させたという、悲しくも面白い物語。これが第2巻のメインストーリーだ。    

「第3巻 関羽、五関に六将を斬る」
 第3巻は、男の中の男、項羽に惚れた曹操のお話。信義に厚い勇将の関羽を、曹操は大いに尊敬し、何とか自分のに麾下に加えたいと願っていた。玄徳の2人の夫人を守って孤独な戦いを続けていた関羽は、城を守って討ち死にすることを覚悟していた。しかし曹操の使者から、それでは、義兄弟は生まれた時は違っても、死ぬ時は一緒だと誓った誓いを破ることになるなど、三つの不忠だとさとされた。その説得に一理あると考えた関羽は、劉備の所在がわかれば直ちに劉備の元へ戻ると条件を認めさせたうえで、曹操の軍門にくだることを決意。曹操はとりあえず、その約束をしておき、自分の配下でさまざまな優遇措置をとれば、きっと自分の部下になると考えたわけだ。そして、曹操は、項羽に対してたくさんの金銀財宝や多くの女たちを与え、さらには呂布が持っていた、名馬「赤兎馬」までも与えたが、項羽の劉備に対する気持は変わることはなかった。そして、劉備の所在がわかった関羽は、曹操からの再三の慰留にもかかわらず、二人の夫人を連れて劉備の元へ帰る旅に・・・。曹操配下の武将たちは、関羽を劉備の元へ帰すことに強く反対したが、関羽との約束に重きをおいた曹操は、関羽の意思を尊重して、これを見送った。ところが、関羽の旅の途中、関所を守っていた曹操配下の武将たちは、関羽が通行証を持っていないとみるや、その通行を認めないと主張してこれを遮ったため、やむなく関羽はこれらの六将を斬りすてながら旅を続け、やっと劉備、張飛と再会した。これが「関羽の千里行」、「三兄弟、古城の再開」のストーリーだ。第3巻はそんな物語をメインに楽しく展開させていくもの。

<第4巻以下は?>
 この『三国志<国際スタンダード版>』全20巻は、こんな調子で、各巻ごとにメインストーリーを設定してくれているので、『三国志』という歴史絵巻を楽しみながら勉強できるもの。だから、4巻以下もきっと楽しく観ることができるものと私は確信している。しかし、1巻90分程度のストーリーだから、全20巻ともなるととても大変だが、是非いつかビデオを購入して、全巻通じて観てみたいものだ。
                                 2004(平成16)年7月15日記