洋画04年NO39

「ドーン・オブ・ザ・デッド(DAWN OF THE DEAD)」

                    2004(平成16)年4月20日鑑賞<東宝東和試写室>

監督:ザック・スナイダー
アナ/サラ・ポーリー
ケネス/ヴィング・レイムス
マイケル/ジェイク:ウェバー
CJ/マイケル・ケリー
東宝東和配給・2004年・アメリカ映画・100分

<日常世界から突如、非日常世界へ>
 主人公は看護婦のアナ(サラ・ポーリー)。夫と2人で暮らす住宅はかなりの高級住宅地にある。仕事を終えて自宅へ戻り、夫と愛し合い、ぐっすり眠るという幸せな日常生活。ところが次の日の明け方、ベッドルームには怪しげな人の気配が・・・。夫がこれに気づくと、開いたドアに立っているのは隣人の女の子。ところがその顔を見ると、口が血でまっ赤となっているうえ、目が血走り、人間とは思えないすごい形相。そして、いきなりアナの夫のノドに噛みついてきた。驚いたアナは救急車を呼ぼうとしたが電話が通じない。さらに驚いたことに、ノドを噛まれた夫が、恐ろしい形相になって、今度はアナに襲いかかってきた。アナは必死でバスルームの窓から逃げ出して車に乗り込んだが・・・。
 一体何が起こったのか?まち全体に化け物(?)が溢れ、あちこちで火の手も・・・。とにかく逃げるしかない・・・。今までの幸せな日常世界は、一夜にして、非日常世界に一変してしまった。

<避難先は巨大なショッピングモール>
 一人車で逃げ出したアナが、生存者のケネス(ヴィング・レイムス)やマイケル(ジェイク・ウェバー)らと共に入り込んだのは、巨大なショッピングモール。強化ガラスで囲まれているから安全と思ったら、既にここは、CJ(マイケル・ケリー)ら3人組の警備員によって「仕切られて」いた。CJらに銃を取り上げられ、モール内には「主従の関係」が・・・。
 そして、新たな生存者がトラックでやってきた時、これをモール内に入れて救助すべきか、それとも無視すべきかで対立するモール内の人間たち。巨大なモール内では、生き残った人間たちのエゴがむき出しになるのも当然だが・・・?
 さらに、彼らを救助したのはいいものの、化け物に噛まれて傷を負った人間は、いったん死んだ後、突然「感染者=化け物」として「復活」するから、やっかい・・・・。

<原因不明の非常事態に情報は混乱>
 モール内では、テレビニュースは流れるものの、なぜ急に人間が狂暴化したのか、その原因は不明。空気感染か血液感染か、またそれは何かのウィルスによるものか。さらにはテロや生物化学兵器の可能性は・・・?いろいろと情報は流れるものの、確かなものはなし。そのうちテレビによる情報も途絶えてしまった。さあ、みんなどうするのか?

<モール内での一時の平和>
 もっとも、この広いショッピングモール内には、食料品や衣料品はもちろん、遊ぶ施設もタップリ。そして出入口にカギをかけておけば、外部からの侵入を防止できるので安全・・・。どうも化け物たちは、人間を襲って噛むことはできても、道具を使って出入口を破壊したりする知恵はない(?)のが不幸中の幸い・・・?
 したがって、モール内で過ごすうち、その住人たち(?)は、衣裳や貴金属や食事を楽しみ、さらにフィットネスやゴルフ練習を楽しむことに。さらには、孤立した建物の屋上で一人過ごす男とボードに文字を書き、双眼鏡を通してそれを見ることによってチェスを楽しんだり、化け物相手の射撃を楽しんだり・・・?
 しかし、こんな楽しみ(?)がいつまでも続くはずはない。遂にモール内の生存者たちは、モールから脱出するため一計を。それは、トラックを戦車のように補強したうえで、このモールから脱出し、一人孤立して過ごす男を救出して、一緒に船に乗って逃げようというもの。それが安全かどうかはわからないが、それに賭けてみるしかない。モール内の住人たちの意見は一致した。そして、ついにその日がやってきたが・・・。

<『28日後・・・(28DAYS LATER)』とそっくりのテーマだが・・・>
 原因不明の感染症によって人間が狂暴化し、ロンドンの街が死の街になってしまう。そして、いったん人間がこの感染者に噛まれると血液感染を防ぎようがなく、その人間も化け物になってしまう。このようなホラー・ストーリーのつくり方は、『28日後・・・(28DAYS LATER)』(02年)という映画とそっくり。
 最初に『28日後・・・(28DAYS LATER)』を観た時はかなりショックだったが、既にそれを観ているので、この『ドーン・オブ・ザ・デッド(DAWN OF THE DEAD)』はどうしても二番煎じの感がある。
 また両者を比較した場合の大きな違いは、生存している人間同士のエゴや対立についての描き方。これはどうみても『28日後・・・(28DAYS LATER)』の方が強烈で、真実味をもって描かれていると言わざるをえない。
 すなわち、この映画では、アナたちのグループとCJたちのグループとの対立もいつの間にかおさまって仲良くなっているし、アナやトラックからの新参者の娘たちを好色な目で見ていた男も、それ以上何の問題も起こさない。さらにモール内での化け物との闘いの中で芽生えた(?)アナとマイケルとの愛情の描き方も、ミエミエの「お涙ちょうだい」式の設定(?)で、中途ハンパ・・・。人間同士の深刻な対立があまり深く突っ込んで描かれていないのは、大いに物足りない感じ・・・。そのため、はじめから終わりまで、アナたちと化け物との対決に終始する映画になってしまっていると思うのだが・・・。

<ラストのつくり方もイマイチ・・・?>
 CJやマイケルの献身的な犠牲の上に、やっとアナやケネスは「船上の人」となり、島に向けて一直線。そして映画は、ここから字幕と島の中のシーンを交互に繰り返しながら、ジ・エンドへ。ちょっとハードな音楽と共に、目まぐるしく画面が移り変わるため、よくわからないものの、どうも、安全だと期待した島の中にも、感染者=化け物がうじゃうじゃいるらしい・・・?そうすると、無防備で島へ上陸したアナやケネスたちは・・・?
 結局、人類は滅亡してしまうのか・・・?そんな問いを投げかけながら、映画は終わってしまった。さて、これをどう解釈したらいいのだろうか・・・?
                                 2004(平成16)年4月20日記