「イングリッシュ・ペイシェント」      
                                    1997(平成9)年5月鑑賞

  (アンソニー・ミンゲラ監督/レイフ・ファインズ/クリスティン・スコット=トーマス/
   ジュリエット・ビノシュ/ウィレム・デフォー)

<世紀の超大作と並ぶ傑作>
 この映画は、予告編を観た時からすごいと思った。スケールの大きさもそうだし、私にはいつものことだが、人妻「キャサリン」を演じる、クリスティン・スコット=トーマスの魅力。予告編で見せる、上品だがちょっと過激なセックスシーンだけでも、「これは絶対観なきゃ」と思ってしまった。

 「イングリッシュ・ペイシェント」とは、日本語に直訳すれば、「イギリス人の患者」。同名の翻訳本がこの映画の原作となっているものだ。もちろん、「イギリス人の患者」というタイトルだけでは何のストーリーか全くわからない。そして、映画を観ても、あの名作「アラビアのロレンス」と同様、第2次世界大戦当時の北アフリカの戦況、そしてイギリス、ドイツ、イタリアなど各国の力関係や、位置関係がわからなければ、十分に理解することは難しい。しかし、そのような歴史的背景の理解が多少不十分でも、戦争という大きな激動の中でのラブ・ストーリーの素晴らしさは、十分に堪能できる。

 映画の冒頭は、何やら壁画らしきものをカメラでたどっていく。暗示的な悩ましい曲線を描くのは、アフリカの砂漠。そして、一面に広がる砂漠の中で、飛行機が撃墜される。重傷を負った、主人公の「イングリッシュ・ペイシェント」は、この後、本当にドラマティックな人生を送ることになる。冒頭の暗示的な美しいシーンは、人妻キャサリンの美しい肉体であり、また彼女が死を迎える洞窟の壁画であることが、最後になってやっとわかる。
 昔観た「誰がために鐘は鳴る」や「風と共に去りぬ」などと並ぶ、名作中の名作である。アカデミー賞12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、そして助演女優賞など、9部門を受賞した、1997(平成9)年度の、間違いなく最高傑作である。
 
                                   2001(平成13)年9月  記