演劇・ミュージカル10-1
「AU×カルメン×具体」 ![]()
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2010(平成22)年1月7日鑑賞<兵庫県立芸術文化センター>
主催:AU
総合演出:嶋本昭三
企画:嶋本晃
演出:清原邦仁
アートディレクター:ヤマモトヨシコ
協賛:嶋本ラボ
カルメン(ジプシーの女工)/西原綾子
ドン・ホセ(伍長)/水口健次
ミカエラ(ホセの婚約者)/古瀬まきを
エスカミーリョ(闘牛士)/松澤政也
フラスキータ(カルメンの友人)/繁田千都子
メルセデス(カルメンの友人)/堀内優子
ダンカイロ(密輸団の親分)/嶋本晃
レメンダード(ダンカイロの仲間)/清原邦仁
スニガ(衛兵隊長、ホセの上官)/東平聞
モラレス(士官)/石原祐介
指揮/山田亮平
ピアノ/伊原敏行
<チケットは昨年夏に。その全貌は?>
1998年に行われたロサンゼルスでのアウト・オブ・アクションで、ポロック、フォンタナ、ジョン・ケージとともに世界4大アーティストの一人に選ばれた嶋本昭三氏と私は、阪神・淡路大震災直後に「あるご縁」で知り合いとなり、以降手紙を中心としたお付き合いをさせていただいている。嶋本昭三氏は「具体美術協会」の創立メンバーであり、現代芸術グループ「AU」の主催者だが、その詳細はそれぞれのホームページで。
その嶋本氏が総合プロデュースをつとめ、声楽家(オペラ歌手)である次男の嶋本晃氏が企画したのが『AU×カルメン×具体』。私はそのチケットを、昨年7月25日に当事務所で行った天神祭パーティーの席で購入。今日やっとその公演の日がきたわけだが、さて『AU×カルメン×具体』の全貌は?
<やっぱり日本語の歌詞には違和感が>
1953年に設立された劇団四季は、『CATS』『オペラ座の怪人』『コーラスライン』などの輸入ミュージカルをすっかり日本に定着させたうえ、『李香蘭』『異国の丘』『南十字星』という昭和三部作などのオリジナルな国産ミュージカルをたくさん生み出し大成功させている。しかし、日本の本格的なミュージカルの原点は東宝ミュージカルで、1963年の『マイ・フェア・レディ』で高嶋忠夫や江利チエミが演じたのが最初。その後、『王様と私』(65年)、『サウンド・オブ・ミュージック』(65年)、『屋根の上のヴァイオリン弾き』(67年)、『ラ・マンチャの男』(69年)など東宝は次々と海外のミュージカルを日本語に訳して上演してきた。しかしどうしてもそこに付きまとう違和感は日本語訳。
『ドレミの歌』などは日本語の歌詞が定着しているためか今や全く違和感がないが、そうなるにはかなりの時間がかかったはず。しかして、本作『カルメン』のセリフを日本語にした場合、その違和感は?さらに、ドラマティックに進行するドラマを日本語の歌詞で歌った場合、その違和感は?
<カルメンの魅力は?エスカミーリョの登場は?>
私が直近で歌劇『カルメン』を観たのは、①UKオペラ「Livespire」の『歌劇《カルメン》 オペラ・コミック版』(07年)で、2008年12月24日のこと。その前は、②チェコ国立ブルノ歌劇場による『カルメン』で、2005年7月10日のフェスティバルホールにおける日本公演。さらにその前は、③時期は忘れたが、本物の馬が舞台に登場した『カルメン』の公演を観ている。したがって、私にとって今回の歌劇『カルメン』の公演を観るのは4度目だが、歌劇『カルメン』の魅力が「情熱の女」カルメンにかかっているのは当然だ。
その点、上記①②③における「魔性の女」カルメンの魅力は申し分なかったが、さて本作におけるカルメン(西原綾子)の魅力は?それは一人一人の観客が評価することだが、私の目には、本作のカルメンは少し太め、そして少しおばさん風?これ以上悪口を言うと怒られそうだが、さてあなたの評価は?
また、③を観た時ビックリしたのは、エスカミーリョが本物の馬に乗って登場してきたこと。パフォーマンスを得意とする嶋本昭三氏の演出なら、エスカミーリョの登場については、それと同じことをやっても良かったのでは?
<他の出演者も少しメタボ気味?>
2009年11月29日から放映されたNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』を観てはじめてわかったのは、秋山好古が陸軍の騎兵科に入ったのは明治時代の男には珍しく手足が長いところが見込まれたためらしいということ。他方、スペインにおける闘牛士はあの当時の男性にとって最の華のある、女性にモテる職業だったから、手足の長さはもちろんスタイルと顔の良さが大前提?そう考えれば、本作のエスカミーリョ(松澤政也)は十分合格点だが、私が気になったのはドン・ホセ(水口健次)も密輸団の親分ダンカイロ(嶋本晃)もメタボ気味だったこと。
また女性陣をみても、カルメンが少し太めなら、純情可憐なミカエラ(古瀬まきを)も少し太め。さらに、その他の出演者も全体的にメタボ気味なのが目についたが、企画の嶋本晃氏がメタボ気味だからこりゃ仕方なし?
<パフォーマンスの功罪は?>
今回の歌劇『カルメン』は全4幕のストーリーを忠実に(?)追ってはいるが、それとは別の見どころが嶋本昭三氏が指揮するパフォーマンスの数々。ダクト人間の松田明久や龍アーティストの高田雄平の他、世界最大2mのロボットや巨大スカートの女性などが登場するが、さてそれらのパフォーマンスと舞台との調和は?
ちなみに、クライマックスにおける最大のパフォーマンスは嶋本昭三氏自身が綱を引くことによって実現する、天井から落下する100ダースのピンポン球落としだが、ドン・ホセがカルメンを突き刺すラストの悲劇のシーンにおいて、そのパフォーマンスにはいかなる効果が?
<問題提起その1 劇場内での写真撮影を考える>
西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターまで歌劇『カルメン』を観に行った私が、今回はじめて体験したことが2つあるのでそれを紹介し、私なりの問題提起をしておきたい。その第1は、前売り券5000円のチケットを購入して鑑賞した兵庫県立芸術文化センターという立派な劇場での演劇で、私たちのすぐ前に座っていたおばちゃんやおじさんが平気でデジカメやケータイの液晶を光らせながら写真撮影している姿を目撃したこと。最初はこれは何かの悪夢ではないかと思ったが、デジカメやケータイによる写真撮影があちこちの席で行われフラッシュが光っていたから、ひょっとして今回の公演では写真撮影は自由?
そんなバカなことはありえないと思うのだが、とにかく歌劇『カルメン』の公演中こんなに自由に写真撮影をしている姿をみてビックリ。最初にそれを見た時はよほど怒鳴ってやろうかと思ったが、ひょっとして写真撮影が自由だったとしたら私の立場がなくなってしまうので、とりあえずガマンをしたのが正解?
<問題提起その2 電車内でのケータイ通話を考える>
もう1つは、久しぶりに乗った阪急電車は、私が昔乗っていた近鉄やJRと違って乗客が上品だと思っていたが、帰路電車に乗ると、すぐ近くの席でケータイでしゃべっている若い女性をみたこと。大声でしゃべりまくるそのあまりの傍若無人さに、劇場内でのフラストレーションもあって私はすぐに「電車内でのケータイ通話はやめなさい!」と大声で注意した。ところが、何とその女性はその後もブツクサとケータイで文句を言いながらしばらく喋り、やっとケータイを切る始末だった。
1月8日の朝刊と夕刊は藤井裕久財務大臣の辞任と菅直人新財務大臣の就任を伝えていた。また「円安が適切」という菅大臣の発言を受けて、大きく株高となったことが伝えられていた。民主党政権になって、鳩山由紀夫総理が小沢一郎幹事長の意向に反してまで固執した藤井財務大臣の辞任と菅直人新財務大臣の就任をこの女性はどう考えているのだろうか?きっと、そんなことには何の関心もなく、彼女には目の前の(ケータイの前の)相手しか興味がないのだろうが、もしそうならそんな女のために、なぜ私が今一生懸命努力しなければならないの?ついそんな愚痴をこぼしたくなったが、日本の若いモンはこんな女ばかりではないと自分に言いきかせて、明日に向かって再度英気を!
2010(平成22)年1月9日記